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「食は力なり」「医食同源」食べることに関することわざや教訓や物の例えは
洋の東西を問わず、広く使われています。
これだけ私たちにとって“食べる”ということは、欲求であり、必要なものです。
しかし、現在この混沌とした社会において見失われがちなものが“食”でもあります。
日頃、何気なく口にしている食事やお菓子などには、たくさんの物語やその国の文化や、
それはもう数えきれない人たちの想いが込められています。
ひとつひとつの材料や作り方、それに伴う様々な知恵や工夫は先人たちが私たちに残してくれた、
大きな楽しみです。もっと料理やお菓子作りに親しんでもらいたいと思っています。
私は、日頃お菓子を作るため、伝えるため大切なことは「4つの優しさと」感じています。
美味しいものを作ろうとする優しさが、素材の持つ優しさを見分け、
食べてもらうことによって贈る気持ちの優しさが生まれ、
その優しさを受けた人が美味しいと感じて優しい気持ちになる。
実際、食べ物というのは、不思議な力があるらしく、人を簡単に和ませることもできれば、
トラブルの原因にもなる。時には戦争の要因にまで発展したことがあるくらいに・・・
大切なものは、素直に大切にするのが正解です。それに、お菓子は料理の中でも特に、
自然に近い素材から作り上げていくものです。
それだけに、美味しくも不味くもそれぞれの優しさ次第。
どうせ作るなら美味しいものを作ってあげたいと願っています。
ほんの基本の知識を我が物顔に振りかざすような伝え方は好みません。
しかし、難解すぎてわかりにくいのも好みません。美味しいものは、素直でわかりやすい。
家庭でもプロでも美味しいお菓子は誰にでもできるのです。
優しくあるために、美味しいお菓子をたくさん作り、伝えたいと願っています。
chef 春日玖一巳